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「一週間も早く産まれてくるなんて、せっかちさんだね。レグに早く会いたかったのかな」
「そうかもしれないな」
レグルシュは幸せな顔をして、千歳の言葉に頷く。
薄闇に淡く星が輝く頃、ユキと両親は帰宅した。
すこし経つと斗和が家の中でぐずり始めたので、早めにミルクを与え、千歳達も温かいお茶を淹れて一息つく。
「ユキがいなくなるとやっぱり静かになるな」
「久しぶりにユキくんに会えて楽しかったですね。従兄弟だから、斗和もきっと数年後にはユキくんみたいになるのかな」
レグルシュは緩く首を振る。
「怖い話はやめてくれ」
「怖い話なんてしないよ」
悪戯っぽいキスを仕掛けられ、甘えるような仕草を千歳は唇で受け止める。
唇を割って入ってくる舌に、思わず身震いがした。
レグルシュの手がシャツの内側へと潜り込み、千歳は腰を引く。
行為を求められたのは一年前の発情期以来だ。
オメガの項に噛みつこうと……それでも、ギリギリの理性の内側で苦悶するレグルシュの表情が、ずっと脳裏に焼きついている。
震えを感じ取ったのか、レグルシュのほうから身体を離した。
「……悪い。怖がらせたな」
「す、すみません」
レグルシュは冷めたお茶を淹れ直すために立ち上がった。
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