はじめまして

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ユキのシッターを任されることになり、極度のオメガ嫌いであるレグルシュの態度も、少しずつ変化を見せ始めたのだ。 ユキを思うがあまり厳しく、そして確かな愛情を持っているレグルシュに、千歳の心は元婚約者から彼へと惹かれていった。 しかし、好きになってしまった人は、オメガに並々ならぬ嫌悪を抱いている。 オメガの千歳は、生まれ直さないかぎりはレグルシュの心を振り向かせられない。 レグルシュが「オメガ嫌い」であることは知っていたし、そのうえで思いを伝えることは、彼を傷つけるだけだと思い、口にできなかったのだ。 レグルシュとの子を授かり、彼の腕で我が子を抱いてもらえて、千歳は幸福の涙を溢れさせる。 奇跡のような──運命の恋で繋がっている。目尻が真っ赤になったレグルシュを見て、千歳の胸も言い表せないような温かいものでいっぱいになった。 ……────。 男体のオメガ……さらに千歳は平均よりも小柄であったため、胎児が二五〇〇グラムほどになったあたりで、帝王切開で産むことを担当医から説明された。 術後、体調は安定しており、予定では三週間ほどで退院できるとのことだった。 仕事の合間や終わった時間に、レグルシュは毎日千歳の病室を訪れる。
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