天国地獄大地獄

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そうだ、地獄へ行こう。 絵本とかで見てきた地獄の方が、 自分にとってよっぽどマシに思える位、 この世は地獄だ。 この世以上の地獄があるというのであれば、 僕は行ってみたい。 ぐつぐつに熱い窯。 血の池地獄。 蜘蛛の糸。 それは寧ろ、天国。 あいつらの顔を見なくて済むのなら、 それでいい。 地獄なんて、もしかしたら 「悪い事してると、こういう場所にいっちゃうよ!」 という教えから出来たものなのかもしれない。 それが、かえって 「こんな場所があるなら行ってみたい」となってしまうのだから、 必死に教えてこんでくれた幼稚園の先生なんかは、 ため息をついて背中を向けて去っていくことだろう。 あぁ、嫌だ。 今日も学校に行きたくない。 誰か地獄へ連れて行って。 そう思いながらも、 学生としての本業を果たすべく、 今日も重たい足取りで通学路を歩く。 「きゃー!今日見られた超ラッキー!」 「王子ー!こっち向いて!」 「あいつ、本当にモテるよな。 あの顔に産まれただけで人生イージーモード、天国確定だわ。」 「俺らとは生きる世界が違うんだよ。」 そう、お前らとは生きる世界が違う。 その全ての言葉が、 俺にとってはどんな地獄の罰たちよりも、 よっぽどに重くて残酷なものなのだから。
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