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歩いていると違和感がある。
生まれ変わった、とはいえ、武士としての感覚は失くしていない。
殺気。
そう判断し集中する。
後か。
思い切り振り向くと・・・。
「前世ぶり、かな。久坂玄瑞くん。」
「はあ、元、新選組副長新見錦か。」
新見錦。
元新選組の副長。
彼女の知り合い、というと語弊があるかな。
彼女に思いを寄せるものの一人だった。
まさか高校二年の編入学生が新見錦とは。
彼の死によって決着がついたのだ。
切腹、といえば聞こえはいいが実際は詰め腹を切らされたらしい。
全くくだらない、掟のせいで。
「ここでは田中伊織だけどね。」
「一応先輩って呼ばなきゃいけないかな?」
「その方が好きだよ。」
「じゃあ嫌ですね、錦さん、と呼びます。」
嗚呼、傍から見たら新たな感性を開拓しているような気がしてならない。
ボーイズ・ラブ、男色、BL、同性愛者という名の。
そんな感性は一ミリもない。
九一くんなら開拓しそうな気がしますけれど。
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