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第1章 自分史上、最悪の夜
金曜の夜のセンター街は、時間が経つほど賑わいが増してゆく。
別れがたそうに抱き合っているカップル、珍しそうに辺りを見回している外国人観光客、制服のまま、道端に座り込んでいる女子高生、店から出てきて、酔いにまかせて大騒ぎしている大学生やサラリーマン。
見回しても、一人で歩いているのは、わたしぐらいだ。
いつもは足早に通りすぎるだけの街。
でも今は、その人並みにもまれ、蛾や羽虫が街灯に引き寄せられるように、目についたクラブのドアをくぐっていた。
狭い店内には、街中よりもさらに奇抜なファッションに身を包んだ男女がひしめき合っていた。
バーやクラブに足を踏み入れたことは、これまで一度もなかった。
まして、一人で来るなんて、考えたこともなかったのに。
でも、どうしても非日常的な体験が必要だった。
最悪な一日を一人きりの部屋で寂しく終わらせたくなかったから。
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