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「夕日、間に合って良かった」
窓の外を見ると、太陽は空を茜色に、海を黄金色に染めながら沈んでゆくところだった。
「綺麗……」
しばらく、言葉も忘れて、ふたりで見入った。
彼もこの絶景に心から感動していることが伝わってくる。
でもどうして、言葉を交わしていないのに、この人の気持ちが手に取るようにわかるんだろう。
親や兄弟といても、そんなこと感じたことがないのに。
「今日の夕日は特に美しいですよ。お二人を歓迎しているみたい」
陽子さんが、そう言いながら、最初の料理を運んできた。
食事は創作フレンチのフルコース。
テーブルにサーブされたアミューズは卵の殻を器にした、見た目も愛らしい一品。
センスも味も最高で、続く料理への期待がいやでも高まっていく。
次に出てきた、伊勢エビのスープも絶品で、わたしの気持ちはどんどんほぐれていった。
「本当においしいです。今まで食べたフレンチの中で最高かも。あ、言うほど食べに行ってはいないですけど」
わたしの言葉に、彼は嬉しそうに顔をほころばす。
「気に入ってもらえて、連れてきた甲斐があった」
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