第1章 自分史上、最悪の夜

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 前回と同じ店で軽く食事して、すぐホテルへ行き……  そして、さっさと事を済ませたあとで、突然「今日で会うのは終わりにしよう」と告げられた。  どうしてと問いただすと、勝也さんはきょとんとした目でわたしにとどめを刺した。 「まさか、俺が本気だと思ってたの?」 「えっ?」 「だって澄香、そこそこ可愛いだけだし。痩せすぎで抱き心地悪いし。ベッドでめちゃくちゃエロいとかなら別だけど」  淡々とそう告げると、彼はシャワーを浴びにいった。  ショックでしばらく動けなかった。  のろのろと立ち上がり、服を着たところで、彼が戻ってきた。 「最初のとき、慣れてないところが可愛くていいって言ってくれたのに……」  それが、わたしができた精一杯の抗議。  でも、しらけた表情の勝也さんはタオルを頭からかぶったまま、わたしの前に立った。 「にしても程度ってものがあるだろう。はっきり言って、反応が最悪なんだよ。澄香さ、不感症だよ、ぜったい」  その、心ない言葉に打ちのめされ、それ以上、何も言えなくなってしまった。  この人にとって、3回のデートは単なるお試し期間だったのか。  信頼を裏切られて呆然自失のわたしを置いて、彼は素早く支度を整え、さっさと部屋から出ていった。
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