第4章 再会の日は雨

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「だって、無理だよ。わたしがそんな御大層な御曹司と付きあえると思う? すぐにダメになるに決まってるって。さすがに、痛いだけの恋を短期間で繰り返したくはないんだよね」 「まあ、たしかに一理あるか。ねえ、伊藤勝也やその人みたいに悩まずに付き合える人、わたしが紹介しようか」 「うん……でも、しばらく男の人とのお付き合いはいいかな。わたし、仕事と夢に生きることにする」  なんでも話せるしいちゃんにも、最後に勝也さんに突き付けられた言葉だけは、やはり言い出すことができなかった。  なにしろ、ベッドでまったく魅力のない女だという烙印を押されたのだ。  本当に、もう、モテる男はこりごり。  よく考えてみたら……  内田さん、あんな超絶イケメンなんだから、女性との付き合いも数えきれないほどあるはず。  そういえば、自分でも「親しくしてる人がいないわけじゃない」とか言っていたし。  また、他の人と比べられて貶められるようなことになったら、とてもじゃないけど、もう一生、男性とは付き合えなくなる。  わたしの言葉に、しいちゃんはうーんとうなった。
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