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「仕事と夢ねぇ。でも、澄香、考えてごらんよ。来年、もう27歳だよ。自分の結婚が決まったから言うわけじゃないけど、そろそろ先のことを見据えて、本腰入れて、一緒に生きていきたいなと思える人を探したほうがいいって」
「うーん、そうかもね」
わたしが真っ向から否定しなかったのを見てとったしいちゃんは目をきらっと輝かせた。
「実はね。澄香に紹介したい人がいるんだけど。彼の親友で優しすぎて逆に女の子にモテないっていうのが」
あ、そうか。
逆にモテない人とだったら、付き合えるかもしれない。
他の人と比較されたりしないだろうから。
「誰とも付き合ったことがないの? その人」
「うん、そうらしい。あ、でも、性格に問題があるとかじゃなくて、とてもすてきな人だよ。女の子の前に出ると緊張しちゃうらしい。中高一貫の男子校からの、女子が極端に少ない理系大学出身だからって言ってた。今は企業の研究所に勤めてる」
「会ってみようかな」
「そうこなくちゃ。あ、でも、澄香、面食いだよね。その条件からはちょっと外れるけど」
「いや、もう顔で選ぶのはこりた。おだやかで一緒にいて疲れない人がいい」
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