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同僚かもと思い、そっちに顔を向けると、背の高い男性が向かってきて……
「あ、友永さんじゃないか」
えっ? なんで?
内田さんがここにいるの?
「内田さん……」
彼も驚いた顔をしている。
「杉野社長に用事があって来ていたんだ。でも、こんな遅い時間だったし、まさか、きみに会えるなんて思ってなかった」
そういいながら、髪をかきあげ、唇に笑みを浮かべた。
嘘みたい。
目の前にネイビーのスリーピースに身を包んだ内田さんが立っている。
何度も何度も、思い浮かべていた記憶の彼よりも、現実の彼は何百倍も素敵で、頭がクラクラした。
突然の再会のショックで、しつこく居座っていた頭痛もどこかに飛んでいった。
「今日中に片づけたい仕事があったので、残業していたんです」
「第一営業部の部長に会ったら言っておくよ。部下にあまり残業させないようにって。逆に生産効率が落ちるから」
「いえ、普段はそんなに残業しない……えっ、なんでわたしが第一営業部だって知ってるんですか?」
「明後日からこの会社の顧問だから、俺は。そのぐらい把握してるよ」
そう言って、いたずらっぽく笑う。
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