第4章 再会の日は雨

17/29
前へ
/209ページ
次へ
 でも、そんな気持ちは表に出さず、口から出たのは正反対の言葉。 「会いに来るって、なんでわざわざ内田さんがわたしに?」    彼は何を言っているのかという顔でわたしを見つめた。 「きみが好きだから会いたい、という気持ちの他に、理由が必要かな。言っとくけど、俺はまだ諦めてないから、きみのこと」  淀みのまるでない、ストレートな言葉に顔から火を吹きそうになる。  そうだ。  こういうことを臆面もなく言う人だった。  この人は。 「……やっぱり、仕事の話だけじゃないじゃないですか」とわたしは下を向き、顔を赤くする。 「仕事だけ、と言った覚えはないけど」  赤くなったわたしの顔を見て、内田さんは嬉しそうな顔になる。 「その頬を赤らめた顔、ずっと見たかったんだよ」  すぐ、そんなことを言うから、今一つ信用できないんだけど。 「そうやって、またからかって」 「からかってなんかいない。俺はいつでも真剣だよ。あの日もそう伝えたはずだけど」
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6653人が本棚に入れています
本棚に追加