第4章 再会の日は雨

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「信じられないです。それに御曹司で、しかも会社顧問のあなたと付き合うなんて、わたしにはぜったい無理です」 「ははっ、前途多難だな」  そう言いつつ、余裕の顔で笑って、まるで大変だとは思っていないことが明らかな口調だ。  もう。  彼の手の内で転がされているように思うのは、気のせい?  でも、じわじわと心に嬉しさがこみあげてくる。  内田さん。  あの日とまったく変わってない。    まだ信じられない。  夢に続きがあったなんて。 ***  内田さんが連れていってくれたのは、神楽坂にある、元料亭の建物をそのまま使っているイタリア料理店。  案内されたのは、たたみの上にテーブルと椅子が置かれた、こじんまりした個室だった。 「まずは再会を祝して、乾杯だ」  彼はワイングラスを掲げ、懐かしい笑顔を見せてくれた。  あのとき、彼と過ごしたのはたったの二日。  それなのに、この笑顔は記憶に刻み込まれていて、わたしのなかではまったく色褪せていなかった。 「元気そうだな」 「内田さんも。でも、本当に驚きました。顧問になられるなんて。なんでうちの会社に来ることになったんですか?」
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