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「そりゃ、三光ビールの業績アップを望まれてだろうね」
そう言ってから、意味ありげな視線を送ってきた。
「それとも、きみを追いかけてきたと言ってほしい?」
「な、何を言ってるんですか」
さらに顔を真っ赤にするわたしを見て、彼は嬉しそうに微笑んだ。
「それはさすがに冗談。きみに会うよりも前から出ていた話だったんだ」
「じゃあ、わたしと出会ったときには三光ビールに来るって、わかっていらしたんですか? そんなこと、一言もおっしゃらなかったけど」
彼はちょっとだけ困った顔になった。
「いや、いくら俺でも、そんなことをぺらぺらとしゃべれないよ」
「それは……そうですね」
わたしが同意すると、彼はいたずらっぽい目をして続けた。
「まあ、それに、サプライズで再会したほうが、インパクトが強いと思ったのも事実だけど。きみのびっくりした顔が見たかったってこともある」
「えっ、やっぱりわざと黙っていたんですね」
もう。
内田さんのほうは、わたしと再会すること、はじめからわかっていたんだ。
なんか、ちょっと悔しい。
「で、お待ちかねの、今日きみを呼んだ理由だけれど」
「はい」
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