15 忘れえぬ記憶

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 残された未来(タオフィ)が跳ねながら丘を下りてきた。ぼくの前で「さあ、行きましょう」というように頭を下げる。 「アーティ。会えたばかりなのに」おばあちゃんは大きく腕を広げ、ぼくを抱きしめた。「最高の孫……天の国で待ってるわね」 「もし天の国に着いたら、パパに会いに来て。へとへとになるらしいけど」  腕をほどいたおばあちゃんは、微笑む顔をぼくに見せた。 「もちろん! でも、あの子、幽霊とか信じる派? せっかく会ったのに無視されたりしない?」 「どうだろ……」  ぼくは、まだジグが響く納屋の窓や、穏やかに連なる丘、ワタリガラスが去った空、そしておばあちゃんの顔に次々視線を移した。 「異界(ここ)での話をパパに信じてもらえるか、心配になってきた……おばあちゃんに会えた証拠を何か、持って帰れない?」  おばあちゃんも思案気な表情になる。 「……現世に着いた途端、異界から持ち出したものは煙になっちゃうって言うわよ……あ!」  ケイトリンおばあちゃんは明るい声を上げた。 「そうだ! 私に会った証拠! たぶん、これなら消えないわ」  おばあちゃんはぼくの耳に口を近づけ、呪文のような言葉をささやいた。
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