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「爺さん、もうすぐ刃流祭がある。負ける気はねぇが、足りねぇんだ。強い想いが…」
刃流祭は成功させたい。
だが、街の恒例行事になった以上、恥だけかきたくない。
だからこそ、分からなくなる。
自分の行動に間違いはないのかと。
生きていてくれたら、話せた事。
「そんなに泣くくらい辛かったのか?」
「泣いてねぇ」
「俺は父親が嫌いだった」
煌大は流れていた涙を拭いて墓石から声の主に視線を合わせる。
「だが、先代である爺さんとの思い出は俺の中にあるから、煌大の気持ちは分かる」
「答えになってねぇぞ」
「俺を育てたのが先代と女将。自由に親に会った記憶はなかったが、玲がな、言ったんだ。嫌いなのはお互いの間に溝があるから。だからお父さんとお母さんを煌蓮総本部で引き取ろう。その方が溝がなくなるからと。煌大を見てるとな、更に思い出すんだ。先代との思い出をな」
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