端午の節句

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『休憩だ』と貴島忍星(きじま しゅうせい)が言ったが、煌大と龍太郎は休む事なく、叩き続ける。 煌大の中には上手く叩けても満足すると言う気持ちはない。 それを分かっている龍太郎は何処までも煌大と同じ気持ちだ。 水を飲む為に龍太郎に『水飲め』と言った煌大は、貴島忍星(きじま しゅうせい)に言った。 「コロ助、忍夢(しのむ)結翔(ゆいと)玲音(れおん)の練習は終わりだ」 コロ助とは貴島忍星(きじま しゅうせい)の呼び名。 「煌大と龍太郎はまだやるのか?」 「あぁ」 手に豆が出来ても練習に対して手を抜かないのが煌大と龍太郎。 「花子に他に曲がないかを聞いてくれ」 煌大が花子と呼ぶのは、貴島忍星(きじま しゅうせい)の妻である貴島真琴(きじま まこと)の事だ。 和太鼓演奏の事は貴島忍星(きじま しゅうせい)貴島真琴(きじま まこと)が刃流学園に通った時に思いた事だった。 「曲を聴いたら叩けるのか?」 そう問いかけてきた貴島忍星(きじま しゅうせい)に煌大が答えた。 「俺に不可能はねぇ」
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