給餌とイケボと逃亡と

1/1
43人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

給餌とイケボと逃亡と

 大まかな形をメモに書いて見せる。依頼内容をチェックボックスで選ぶ、その他は記入。希望日時、人数など書くところを作る。複写だとなおいいよな……オリヴァーさんに説明していると他の人も集まってきて、この項目も欲しいあの項目もと意見が出た。働く人の声って大切だよね。わいわいと話し合っていたら、腰をぐいっと引かれてヘンドリックの膝の上に乗せられてしまった。 「チヒロが他の人に笑うと寂しい。」  こんな強面美形がシュンとしている姿を見てしまうと、思わず大きいわんこにおやつのお預けしている気分になってしまう。彼の膝上で立って頭を抱えて撫でてみる。これだけでかかったら俺の体重くらい何ともないだろう。靴は脱いだし!抱えられた顔が、向こう側の人間をどれだけ威圧しているのかも知らず、可愛い可愛い甘えん坊のわんこに構う気分でいっぱい撫で回し終わると、オリヴァーさんは呆れた顔で、他のメンバーは何故か顔色を悪くしながら仕事をしていた。 「みんな顔色悪いけどお茶でもいれる?休憩なしは効率悪いからね。」  俺が声をかけると、オリヴァーさんが自分が準備すると退室し、いい香りのお茶とお菓子を持ってきて、少し空気が緩んだ。ホッとしていると横から手が伸びてきてまた膝にのせられてクッキーを差し出された。思わずパクリと食べたら、凄く驚きながらも蕩けるような笑顔でもう一枚差し出してきた。甘さがほんのりでいくらでも食べられるクッキーで、ヘンドリックの分まで食べきった俺の顔をじっと見て、親指で口の端を拭われた指にはクッキーの欠片がついていた。指にのったクッキーの欠片を彼が赤い舌で舐めとる姿に目を奪われてしまう。耳元に近づいてきたヘンドリックが…… 「俺の手から嬉しそうに給餌されて、そんな物欲しそうな顔をされると押し倒しそうだ。」  と囁く、唇が耳を掠めていく。イケボと耳への刺激で、た……勃つかと思った……そんな思考に顔に火がついたような気分になる。 「俺!と……トイレに!」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!