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俺の常識とヘンドリックの常識
「なるもならないも、男同士では子供は出来ないし……そんな色気醸し出しながら近付かれると困る。」
「チヒロの世界ではそうか。ここでは、男女は関係なく番うし、子宝にもめぐまれる。色気……俺に対してある種の好意はあるのだな……長期戦か。」
後半は、よく分からない独り言を言いながらため息をつき、俺の両手を解放してヘンドリックが勢いよくベッドに横になり、ベッドが跳ねておれが転がり落ちそうになると、大きな逞しい手が腰に回り引き寄せられ優しく抱き締められる。
「……俺とこうするのは嫌?ではないか?」
「……嫌とかはないよ。なんかヘンドリックは、ワンコっぽいし。俺、大型犬派なだから撫でたくなるかな。それに……なんか良い香りだし。」
胸元ですんすんと鼻を鳴らす俺を見て、ヘンドリックが耳まで赤くする。
「チヒロ……この世界で体臭に好意があると伝えるのは、さっきの『えっち』のお誘いと同意だ……香りが好みだと相性が良いと言われているからな。」
……まじで?!俺、昨日から何回言った?しかも胸元に擦りついて?男も女も関係ない世界で?
「発情期には、相手を誘う香りも出せる。チヒロにはまだ無理かもしれないが、ずっと良い香りがしてかじりつきたくなる。」
自身の唇を舐めるヘンドリックの赤い舌から目が離せなくなる。不敵に笑った彼が、俺の手をとり手のひらにキスをされた。
「擽ったいよ。何か意味あるの?」
「俺の愛を受け取って欲しいという意味だな。」
びっくりする俺の手首にもキスをする。
「子作りの申し出だ。今は待つ、チヒロの心が欲しい。他の者から出来るだけ触られないで欲しい……嫉妬で犯してしまいそうだから。」
んんん?最後不穏な台詞が聞こえた気がしたけど気のせい?初めての告白が強面美形のマッチョキングとかびっくり。嫌悪感があっても不思議ではないのに、俺の心は嫌悪感どころかどくどくと音を立てていた。だめ、これ気付いたらだめなやつ。この日から、ヘンドリックと俺の攻防が始まった。
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