俺にできるお手伝い

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俺にできるお手伝い

 元の世界で学生だったとはいえ、ただ飯食うだけの居候とか心苦しすぎてお手伝いでも良いから何かしたいとオリヴァーさんに相談したら、何故かヘンドリック執務机真横の小さな机で書類の受け渡し業務をしている。 「旦那様は現場派で、書類からはすぐ逃げるのでチヒロ様はここに居て我々の渡した書類を旦那様に渡してくれるだけで助かります。」  オリヴァーさんの言葉に、部屋にいた人たちが首もげちゃうよってくらい肯首する。どれだけ書類から逃げようとしたんだこの男は……ジト目を向けるとすす……っと目線を外される。 「無責任なやつは好きじゃないですね。何事にも頑張る国民性の国で育ったので、自分の好きなことしかできない人は人として尊敬できない……」  ポツリと溢すと、ヘンドリックが大慌てで書類に向かう。部屋の人たちのキラキラした尊敬の視線を浴びせられ、居心地が多少悪くなりながらヘンドリックを見ると、一枚ずつの書類の処理に時間がかかっているなと感じる。手元に来た書類をふと見ると、討伐依頼、行方不明者捜索、事件……多岐に渡った仕事があるのだと解ったものの書類がとても読み辛い。 「この書類解りづらくない?」  時候の挨拶や雑談まで入った手紙式のものや字が汚いものまで、文章を全部読まないと内容が分からない。相手の文章力次第では二度三度読み返す必要がある。いくつかグループ分けしながら、依頼内容をまとめてヘンドリックに渡す。書類処理が速くなったことでオリヴァーさんが僕のところに来て仕分けを見て大きく目を開いている。 「オリヴァーさん。書類の書式を固定することとか、基礎の用紙を作ることは可能ですか?こんな風に……」
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