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迷い込んだ小さな庭の主は妖精?
慌てて部屋から走り出る。……初めての場所でトイレどころか今居た部屋も分からないのに、羞恥で無心に走った結果……小さな庭に出た。甘い香りのするカスミソウのような小さな白い花の咲く庭を見ていると心が落ち着いてきた。
「そこにいるのは誰だ?」
驚いて声の主を見るとそこには長身の妖精のような美形。
「ごめんなさい。初めてこちらに来て迷い込んでしまって……素敵なお花ですね。とても良い香りです。」
「ほぅ?幼子かと思ったが、そんなに直接的に誘ってくるなどなかなか……見目も良い小さく可愛い。成熟はしている香りだね。……さぁ、こちらへおいで。」
ふわふわの大きなソファーの様なところに座った妖精?に手招きされる。お茶のお誘いかな?
「……あの俺、ヘンドリック……騎士団長の部屋まで戻りたいので……」
「自分から誘っておいてそんなことを言うのか悪い子だね。」
妖精が指をくいくいと動かすと、体が妖精に引き寄せられてしまいぽすんっと妖精の横に座ることになる。顎を持たれ左右に振られて、首に顔を埋められて濃い甘いにおいに身体がざわざわする。
「こんなに執着の香りを纏わせて、お手付き無しとは楽しそうだ。ハツモノを引き寄せる結界……案外役に立つな。」
「……あの、妖精さん何を?」
「……ん?妖精さんって僕の事?何って?君がお誘いしてきた閨事だよ。庭で閨事しようだなんて大胆なくせに、こんな可愛いくて手付かずの子だなんて痺れるよ。」
首をべろりと生あたたかく肉厚な舌で舐められて悲鳴が出そう。チート能力あるはずなのにこの妖精の方が強い?そもそも俺のチート能力の内容を知らないんだけど!ポンコツめー!こういうのから逃げる能力寄越せよ!と心の中で神に悪態を吐く。
やだやだキスされそう……初めてなのに!イケメンでイケボだけど、こいつは嫌だ鳥肌がたつ。
「やだっ。ヘンドリック!!助けてっ。」
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