現世に居なくなった俺が転移したのは……

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現世に居なくなった俺が転移したのは……

 神?の答えにホッとした。代わりに他の誰かが巻き込まれることもないと言質もとり、弥平さんは心臓発作で店に突っ込み自損事故で死亡した()()()()()()。そして、その日俺は()()()()()存在となった。産んでくれた母や今まで育ててくれた父、思春期の割には仲の良かったブラコン気味の妹には申し訳ない気持ちになるが、大切な家族が死ぬなんて思いをさせなくて済んだのだから良かったと思うしか俺の心を救う道がない。  弥平さんに土下座されて何度もお礼を言われて、来世は優しい君の子になりたいと号泣された。神にも感謝されたけど、俺が失ったものはあまりにも大きかった。  転生できるとは言われたものの、記憶を持ち赤子スタートなんて高校生男子として受け入れ難く渋っていたら、チート能力も与えるし転移でどうか?と大盤振る舞いな発言をする神。 「()が行って喜ぶはずだった世界に行くか?運命の相手も用意できる。」  神からの提案に、運命はともかくおっぱいの上のパン屑に生まれ変わりたかったあいつが喜ぶ世界なんて楽しそうだと同意した。その瞬間大切なことを俺は忘れていたのだ、この神が()()()()であることを!  そして今、俺はあいつの希望?通りオッパイに囲まれている。ただし「()っぱい」な!屈強な全裸男たちの風呂場に、着の身着のまま湯船に落とされるという雑な転移をさせられた俺は、着衣のまま深めの湯船で危うく溺れるところだったのを、どうにか助けられた。  どう見ても不審者な俺は、洗い場に濡れ鼠のまま引き上げられた後、風呂にいたでかいマッチョたちに囲まれてもう泣きそう。しかもみんな股間まで天高く威風堂々……そういう習慣の国?それがノーマル状態なのか?悩んでいると、群を抜いて長身の全身に傷のある厳つい美形マッチョが近づいて来る。集まっていたマッチョ人並みが割れた。モーセ?! 「子供か?変わった髪色だがどうやってここにっ?!」
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