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マッチョキング改めヘンドリック
「騎士団長、おろして。」
「ヘンドリックだ。」
「だから騎士団ち…」
「ヘンドリックと呼べ。」
「ヘンドリック団長?」
「役職名は要らん。」
「ヘンドリック?」
「チヒロ」
赤い目がまた金色になり目をそらそうとするのに目をそらせない、いい香りがまたしてきた……頭がふわふわして真っ白になって俺の意識はシャットダウンしたらしい。
……目覚めると知らない部屋のどでかいベッドに寝かされて居た。ベッドから起き上がったのを察したかのような絶妙なタイミングで大きな扉からノックが聞こえ、部屋に入る許可を求められる。
「は……はい!どーぞ。」
出たマッチョキング……じゃなかったヘンドリック。なんか昨日の威風堂々とは違って尻尾丸めて耳がぺたんこになった犬みたいな顔で、隣にいる年配の落ち着いた男性に厳しい視線を浴びせられながら俺に近付いてきて、床に額をすり付けんばかりに謝罪してきた。意味もわからずおろおろしていると、年配の男性が口を開いた。
「チヒロ様。私、執事のオリヴァーと申します。我が当主のせいで愛し子のあなたを気絶させるようなことになり申し訳ございません。行き過ぎた好意故ですので、お許しいただけませんか?」
情報が多すぎて謎だけど、俺が昨日意識を飛ばしたのがヘンドリックのせいだったということはわかった。行き過ぎたコウイ?行為?好意?深く考えたら負けな気がするけど、どこにも異常は無さそう。
「ベッドまで運んでくれてありがとうございます。身体のどこも痛くないですし、大丈夫です。」
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