夏の終わりのカレンダー

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     夕方、ユキコちゃんはママと買い物に出かけました。  ただし休日のショッピングみたいな大仰な「買い物」ではなく、近所の商店街まで晩御飯の材料を買いに行くだけ。ユキコちゃん自身の洋服やオモチャを買ってもらえるわけではありませんが、ママと一緒におでかけ出来るだけで、ユキコちゃんは嬉しくなります。  お気に入りの麦わら帽子を被り、リボン飾りのついた赤い靴を履いて……。 「さあ、行きましょう」  というママに手を引かれて、ユキコちゃんは玄関を出ました。  その途端。  ジリジリと強烈な日差しに照らされて、ムッとするような熱気に包まれます。 「えっ、何これ……?」  ユキコちゃんは、思わず足を止めて呟きました。 「まだ夏だからねえ」  ママは笑っています。  ユキコちゃんは内心「今日から9月で、もう秋だよ!」と反論したくなりますが、ママと言い争うつもりはありません。  だから代わりに、自分を納得させる意味も込めて、別の解釈を口にするのでした。 「季節の神様、カレンダーめくるの忘れちゃったのかな?」 (「夏の終わりのカレンダー」完)    
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