5.晴天

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5.晴天

 颯太は、この所、じいちゃん家に行っていない。夏休みもそろそろ終わるので、日記以外の宿題を終らせてからじゃないとダメ!と母さんに言われたからだった。  夏休みの終わる三日前、颯太は殆どの宿題を終らすことが出来、さっそくじいちゃん家に遊びに行った。  お参りのご利益があったかは分からないが、颯太とじいちゃんが龍神様の所に行った翌日、長く降り続いた雨が止んだ。単に、「その時」だったのかも知れない。  今日もいい天気だ。  颯太とじいちゃんは、いつもの様にリビングでお話をしてから、公園に出かけた。じいちゃんは、お供え物として、お酒を用意していた。  一旦、山頂の公園まで上がった。 「わー!」 颯太が歓声を上げる。今日は綺麗に海が見えた。  ふいに、颯太は、後ろを振り返った。  あの、おじさんは、いなかった。  また、会いたいな、と思っていた。  颯太の様子を見ていたじいちゃんが、声を掛ける。 「颯太、あのなあ・・お前、あの時・・・」 「ん?」  じいちゃんは、言葉を止めた。颯太の言った「あの人」が誰(何)だったのか。ずっと気になっていた。しかし、気になりつつも、同じ位、そっとしておいた方が良いのではないか、とも思う。う~む・・。  よし!わかった。”聞かぬ”が花だ。 「いや、なんでもない。行くか!」 「うん!」  二人は、龍神様の元へと歩き出した。  おわり
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