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「お前の父さん母さんも好き嫌いで仕事してないだろ」
「え?」
「この国の、多くの人が自分の務めと誠実に向き合って、日々果たしている。立派だよ」
男は、何気ない物言いだったが、颯太は、父さんと母さんが褒められたように感じて嬉しかった。きっとこの人はいい人だ。
くすぐったそうに、にんまりとしている颯太の顔を見て、男はそっと颯太の肩に手を置く。
「龍神様、あんまり人が来ないから寂しがってるんだ。遊びにいってくれると喜ぶよ」
「うん!」
「ありがとう。じゃあ気を付けて行けな」
「うん!」
男は、じいちゃんとすれ違う格好で公園の中に入っていく。
じいちゃんが、困惑した様子で颯太に歩み寄った。
「颯太、お前、いま・・」
「神社こっちだって!」
颯太は元気にそう言って、先に階段を下りて行く。
「お、おう」
じいちゃんは、戸惑いながら颯太について行った。
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