第十五章:女と男の間――美生子十四歳の視点

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 おばさん、随分年上の人と結婚してたのかな?  だからこそ合わなくて離婚しちゃったのかな。  むろん、生前の清海おばさんは自分のような子供にそんな話をすることはなかった。  だが、母親の固い面持ちからおばさんの元夫で陽希の実父であるあの男性が良く思われていないのは察せられる。  ちょっと見る分には「品の良い老紳士」という感じの人だけど。  固く真っ直ぐな髪質や腰高い長身などは遠目にも一見して息子の陽希に似ていた。  喪服を隙なく着込んだ父親と夏用の白い半袖シャツの学生服を纏った息子はまるで互いが存在していないかのように離れた場所に座ってバラバラな方に目を向けている。  そして、そんな風に二人とも横向き加減になると、父子は正面から見るよりもいっそう似通って見えるのだった。
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