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しばらくして、頭の遥か上からフーッと息を吐く音が聞こえてきた。
「馬鹿だな、お前は」
相手も屈み込んだらしく、頭のすぐ上で声がした。
少なくとも殺気だった調子ではない。
ホッとする一方、そういう相手の顔色を窺う意気地のない自分に屈辱感が燻り始めるのを覚えながら、顔を上げる。
再び眼差しを合わせた相手の顔は青ざめた怒りが消えた代わりに、嘲り笑うような、酷く淫猥な笑いを浮かべていた。
濡れて貼り付いたワイシャツの手がこちらの部屋着の二の腕を掴む。
「寂しかったんだね、キヨちゃんは?」
私の名は清海だが、これは一つ上の彼が知り合ってから付き合い出す辺りまで呼んでいた名前だ。
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