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第十七章:紅白の庭――美生子十五歳の視点
フェンス越しに見える紅白の梅の香りが漂ってくる中、校庭からザワザワと騒ぐ声が聞こえてきた。
腕時計の時刻は発表のそれを指している。
ハルは大丈夫かな?
校門の外から窺って見るが、同じような学ランやセーラー服の人だかりの中から姿を見つけることは出来ない。
――明日の合格発表、一緒に来て欲しい。
そう頼まれたのでついては来たが、他校生の自分が敷地に入るのは何となく気が引けたので門の外で待つことにした。
普段着の白のハイネックニットとGパンの上にネイビーのダウンコートを纏った俺はふっと息を吐くと、ポケットから取り出したミント色のハンカチで仄かに汗ばんだ首筋を拭う。
今日はこの服装では少し暑かったようだ。
厚手のコートで体の線を覆い隠せる冬の装いの方が自分には安心できるのに、季節はまた暖まってきて脱げと迫る。
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