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「フーッ」
もうすぐ階下で夕飯が出来るから寝入ってはいけないと思いつつベッドに横たわる。
初夏の長い日もようやく暮れようとしているようだ。
レースのカーテン越しに見える空はもううっすらオレンジ色に染まっている。
――やっぱり東京に出たいかなって。
先刻目にした幼なじみの笑顔と声が蘇った。
ミオにとって、俺といるこの故郷(と改めて呼ぶと一度は出たことがあるみたいだが)はやはり本来の自分が出せる、そんな希望が持てる場所ではないのだ。
東京に行けば、心が男で女を好きになる自分に相応しい相手が見つかる期待でもしているのだろうか。
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