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第二十一章:偽りを断つ時――美生子十八歳の視点
「で、明日の朝から向こうに行くんだ?」
ハンバーグやコーヒーの入り混じった匂いのうっすら漂うファミリーレストランのボックス席。
陽希は苺パフェのホイップクリームを掬いながら訊ねる。
「うん、お母さんと新幹線でね」
こちらもクリームあんみつのバニラのアイスクリームを溶けない内に――できるだけシャリシャリした内に平らげたい気持ちでスプーンで切り込んだ。
明日は都内に借りたアパートへの引っ越し、明後日は大学の入学式だ。
「十八歳の誕生日に上京か」
二日違いで自分も十八歳を迎える幼なじみは何だかドラマや映画のベタな展開を観るような苦笑を浮かべてスプーンのホイップクリームを口に入れる。
「まあいっぺんに記念日が重なる感じだよ」
こちらはまだ固い氷の感触のバニラアイスの切り取りに苦戦しながら答える。
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