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第二十二章:心は変えられない――陽希十八歳の視点
「ミオコちゃん、凄く変わったねえ」
七人乗り満員のミニバンが動き出したところで前の席の雅希君が見計らったように面食らった声で切り出した。
「いや、中学生以来だから同じままじゃなくて当たり前だけど」
母が事故で逝って四年目の命日。
うちと貴海伯母さんと雅希君、詩乃ちゃん、そして陽子おばさんとミオの七人でお墓参りすることにした。
「ばっさり髪切ったから」
すぐ隣に座るダボッとした真っ黒なTシャツにハーフパンツ姿――これが墓参り用のカジュアルな喪服のつもりででもいるのだろうか――の幼なじみは相手の驚きを端から想定していた風にあっさり笑って、両手をチョキの形にして自分の項の辺りで切る真似をする。
そうすると、椿じみた甘い香りがさっとこちらまで匂った。
髪は削いでも使うシャンプーは昔と変わらない。
そこに妙な安堵と可笑しさを覚えて苦笑いする。
むろん、実家の風呂場で使うシャンプーは陽子おばさんが買い揃えているのだろうが、東京でも多分ミオは同じ物を使っているだろうという気がした。
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