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「不器用だから明治のザンギリ頭みたいになっちゃったけど」
「自分で切ったんだ?」
「行きたい美容室が予約いっぱいで、カット代浮かそうと思って自分で切ったんですけど、ガチャガチャで変ですよね」
「いや、普通におしゃれだと思うよ」
自分にとってはそれぞれ近しい間柄のミオと雅希君はどこか手探りめいた遠慮の漂うやり取りをする。
どうしてそんな頭にした。
不揃いに切った髪が不揃いにまた伸びつつある幼馴染を眺めながら、口にしたくても出せない問いが胸の中で渦を巻く。
黒いTシャツの襟から抜き出た細い頸の横顔は、何だかヨーロッパの歴史物に出てくるギロチンにかけられる前に髪を刈られた女囚めいて見えた。
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