第二十二章:心は変えられない――陽希十八歳の視点

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「変じゃないよ」  口にしてから八歳のまだ幼い再従妹に聞かせるには怖い声になったと気付いて極力何でもない風に言い直す。 「男の子が髪を伸ばして、ピンクが好きだっていいんだよ」  俺はやらないけど。  胸の内で付け加えてから、そういう自分を酷く醜く感じた。  俺なんか偽善者だ。  隣からの目線に振り向くと、ザンギリ頭のミオが安堵したような、寂しいような笑いを浮かべていた。 「そういう子もいるんだよ」  黒服の幼馴染がごく穏やかに言い添える。 「そうなんだ」  再従妹のいとけない声があっさり答えた。
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