第二十三章:君はいつも隣に――美生子十九歳の視点

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「デザートにアイスでも頼もうかな」  向かいからの声に現実に引き戻される。 「季節限定の苺のアイスがある」  グラタンの皿をいつの間にか空にしたハルがキャンペーン用に特化したメニューに見入っていた。  生理痛の自分はもちろんお祖母ちゃんもうちのお母さんもまだ全部は食べていないのに、こいつはグラタンとスープとサラダとご飯の一セットをあっという間に平らげた上にデザートを食おうとしているのだ。  そう思うと、白い丸首シャツの襟から抜き出た太く長い頸やオリーブ色のパーカーを羽織った広い肩が怪物じみて見えた。
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