第二十三章:君はいつも隣に――美生子十九歳の視点

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「また、苺アイス?」  どうやら雑炊を食べ終えたらしいお祖母ちゃんが紙ナプキンで口元を押さえながら苦笑いする。 「さっきもスーパーで買ってきたじゃないの」  口調とは裏腹に孫息子が大食いであることを喜んでいるようだ。  むろんこのお祖母ちゃんは優しい人だけれど、これが俺みたいな「孫娘」だったら同じ反応にはならない気がする。 「あれはまだ食べないで冷蔵庫にストックとして入れてあるし」  ハルもお祖母ちゃんに対しては笑顔で軽口を叩く調子なのでそこは安心する。  生みの母であるはずの清海(きよみ)おばさんと話す時はいつも表情を消した固い顔と声だったから。  と、死んだ清海おばさんを柔和にして三十年老けさせた風なお祖母ちゃんがテーブルの向かい側に座る自分たち母子に軽く苦笑いする。
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