第二十三章:君はいつも隣に――美生子十九歳の視点

11/16
前へ
/319ページ
次へ
「この子、女の子みたいな食べ物が好きだから」  “女の子みたいな”  言われたのは自分ではないのに、言った方はそこまでのこだわりも悪意も込めていないであろうと判る言葉なのに妙に突き刺さるのを感じた。  いや、それ関係ないだろ。苺なんてそんなにクセの強い果物ではないし、敢えて嫌いだと言う人の方が少ない。  男で苺や苺風味が好きな人は普通にいるし、ハルもその一人であるに過ぎない。  何でそんな些末な嗜好にまで男らしさ、女らしさの線を引くんだ。  また下腹に内側から剥がれ落ちるような痛みが響いてくる。
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加