第二十三章:君はいつも隣に――美生子十九歳の視点

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「デザート追加で注文しますか?」  お母さんは注文用のタッチパッドを取り上げて向かいのハルのお祖母ちゃんに尋ねる。 「いや、私はもうお腹いっぱい」  食べることでより疲れが増してしまったように七十過ぎの相手は答えた。 「じゃ、ハルくんが苺アイスで私が白玉餡蜜頼むということでいいかな」 「お願いします」  幼馴染はまだ固いものを底に残しつつ、どこか甘える風な調子で返す。 「それでいいよ」  とにかく上京一日目で明日から社会人になるハルの今日が少しでも明るいものになってくれれば。
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