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「ミオ、お誕生日おめでとう」
「あら、どうもありがとう」
まるで代理のように礼を言ったのは隣に座る母だ。
やっぱり誕生日プレゼントだ。驚きや嬉しさより後ろめたさに襲われる。
自分は何も用意していない。
ここ数年、特に清海おばさんが亡くなってからはうちでクリスマスや二人の誕生日を一緒に祝うパーティをしてケーキを食べるくらいのことはしていたが、プレゼントのやり取りはいつの間にかしなくなっていた。
俺とお母さんは引っ越しを手伝ったなんて言ってもそこまで色々できたわけでもない。何より上京であれこれ出費の多かったはずのハルの家にこの時期に余分な散財をさせてしまったのが申し訳なかった。
「ありがとう」
とにかくここは笑顔で受け取らなくてはならない。
ハルのお祖母ちゃんもうちのお母さんも笑って眺めているし。
自分が決まり切ったリアクションしか許されていない芝居のキャラクターのように感じた。
同時にハルとの関わりでそんな本心を隠した振る舞いをするようになった自分に侘しさを覚える。
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