第二十五章:心に合わない器《からだ》、器に沿わない心――美生子十九歳の視点

8/34
前へ
/319ページ
次へ
「俺の好きなもんばかり頼んじゃったけどいいの?」  ハルは特にアレルギーや好き嫌いはないものの、唐揚げもシーザーサラダもまだ来ていない料理も自分の選んだものばかりだ。 「いいんだよ、俺から急に誘ったし、飲めない人は食べる方で元を取らないと」  そう言いつつ、相手はシーザーサラダのトングを掴んでこちらの皿にまで取り分け始める。  何だかハルの方が女みたいだ。“取り分け女”とか世間で揶揄されるような。  今は俺しかいないから気の利くアピールする必要なんかないけど。
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加