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「ちょっと金が入ったのはいいけど、タイミング悪いよなあ」
今度はシーザーサラダを口に運びながらハルは苦笑いした。
「もうちょっと早ければその金で大学行けたかもしれないのに」
そう歎ずるとまだ高校を出て三か月の十九歳の幼馴染の顔が急に四、五歳以上も老けたように見える。
固く真っ直ぐな黒髪には白髪の一本も、滑らかに蒼白い顔には皺も弛みもないのに。
「今からでも遅くはないと思うけど」
来春にでも受験して大学に入れば一浪生と変わらないし、世間にそんな人は珍しくない。
「うちの学校にも社会人になってから入り直した人は普通にいるよ」
これがハルには励ましになるだろうかと自信は持てないまま続ける。
「大教室で講義を受けているとうちのお母さんくらいの人もいるし、それこそ教授より年上のお爺さんみたいな人もいる」
テディだって三十歳で留学してきた。
大学には教える側にはもちろん学ぶ側にもそんな多様性があるのだ。そこからすればハルが来年どこかしらの大学に入っても現役で入学した自分と誤差の範囲内に過ぎないだろう。
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