第二十五章:心に合わない器《からだ》、器に沿わない心――美生子十九歳の視点

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 え……? 「体を変えるな」  後ろからこちらを抱きすくめた相手はまるで外から聞き付けられるかのように押し殺した声で囁いた。 「ハル?」  返事の代わりに雨に濡れて張り付いたTシャツの上からブラトップで平らに(なら)した胸を押し出すように揉みしだかれる。  ゾワッと全身の毛が逆立つような震えが走った。 「やめろ」  もがいても相手の腕は堅牢な格子のように一回りは小さなこちらの体を捉えて離さない。  視野の中で一つしかない枕の置かれたベッドが大きくなる。 “矯正レイプ” “強制性交”  切れ切れにそんな言葉が頭に浮かんだ所でドサリと視野が反転してベッドに体を投げ出された。
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