第二十五章:心に合わない器《からだ》、器に沿わない心――美生子十九歳の視点

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*****  アフターピルか。  締め切ったカーテンが白々とした朝の光を幽かに透かす自分の部屋でパソコンの画面を眺める顔が失敗したピエロの笑いを浮かべるのを感じた。  「心は男」と主張したところで、いざ本物の男から襲われれば「婦人科」から緊急避妊薬を買わざるを得ない。  それが自分の現実なのだ。  とにかく七十二時間以内に飲まなければならないので画面上で購入の手続きを急ぐ。
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