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――ガタン。
緩やかに速度を落とした電車は、しかし、何かにぶつかったように一瞬、揺れて、止まる。
とうとうこの駅に着いた。
どっと油じみた汗が滲み出て握り締めた拳がワナワナと震える。
――プシューッ。
空気が抜けるような音を立ててすぐ隣の扉が開く。
ムアッと湿った熱気とコンクリートの臭いを孕んだ空気が押し寄せた。
いいや、俺は自分の意思でここまで来たのだ。
後ろからの人の流れに半ば押し出される形でホームにサンダルの足を踏み入れる。
この暑さではこの平たいサンダルが一番快適で動きやすいから履いてきた訳だが、自分の足がいかにも無防備で小さく見えた。
人の流れで転ばないように階段の隅側に寄ってすぐ脇の手摺りには掴まらないまま一段ずつ降りる。
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