第二十七章:共生――美生子十九歳の視点

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 ややあって相手はまるで引かれ者のように笑った。 「お腹に子供が出来れば産みたいとかないんだ」  長い睫毛を伏せた切れ長い双眸がこちらの藤紫のロングTシャツのまだ平らな下腹部に注がれるのを感じた。 ――これ、男の子のだよ?  不意に清海おばさんの顔と声が蘇った。  こいつは死ぬまで不仲だったはずの産みの母親にそっくりな目をしている。 「もし産むなら俺は……」  最後まで言わせずにこちらの答えを被せる。 「この状況なら普通は()ろすだろ」  俺が普通の女でお前と付き合っていたとしても。  十九歳の自分たちが法律上は成人の括りに入れられていても子供を産み育てるのに社会的経済的に十分な大人でないのは知っている。  十九歳の女子学生と就職したばかりの会社員。  いかにも一家で貧窮する軽率な「できちゃった結婚」の取り合わせだ。
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