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「お腹の子ってもう男の子、女の子のどっちか分かってるの?」
薔薇の香りを漂わせながら、赤子のように無邪気な、どこにも意地の悪さなどない笑顔で相手はまた新たな棘を打ち込んでくる。
「女の子みたい」
少なくとも体の性別は。
自分もまだお母さんのお腹にいた頃は男とも女とも認識していない、その意味では完全な「女の子」、生得的女性だったのだと今更ながらに思う。
「どっちに似ても可愛いだろうね」
「だといいね」
今の自分に出来ることは心も体通りの女の子であれと祈ることだけだ。
精一杯の笑顔を作って続ける。
「じゃ、今日は彼も早く帰ってくるから」
「またね」
生きたクリスマスツリーが輝くばかりの笑顔で返すのを目に焼き付けながら、小股の速足で歩き出す。
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