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「甘酒入れたよ」
陽子おばさんの小麦色の丸い笑顔が現れた。
少し遅れてふわりと温かな糀の香りが雛祭りの飾り付けをした部屋いっぱいに広がる。
「陽希くんは甘酒大丈夫かな?」
持ってきたお盆からテーブルの上に甘酒の入ったコップと雛あられの入った小鉢を二人分置いていく。
「大丈夫です」
陽子おばさんが来るとほっとする。
自分の家で母親といるよりこの家でおばさんやミオちゃんといる方がよほどくつろげるのだ。
そう自分に認めるのはどこか寂しかったが、どうしようもなかった。
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