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「きついなあ」
約束を守って希望の景品に申し込んでも、今日みたいな肩すかしを食らうこともあるのに。
頬杖をついてぼやいた胸の内に陽希の俯いた寂しい目が蘇る。
――高いからうちはそういうの取ってない。
直接書き込むテキストは無理だが、付録の理科の副読本や漢字のマンガ辞典等は学年の変わり目に陽希に譲っている。
仕切り直しのつもりで丸まった鉛筆の先をピンクの電動鉛筆削りの小さな黒い穴に差し込む。
――カガガガガガ……。
ハルのためにもとにかく滞りなく勉強を続けなくてはいけない。
何だかんだで自分の方が恵まれているのだから。
改めて見直せば、白塗りの学習机の棚には学校の教科書、ノート、通信添削のテキストに加えて、今まで買ってもらった図鑑や歴史漫画が並んでいる。
机の上には自分で選んだ藍色のシートを敷いた。この鉛筆も文房具屋で自ら選んだので水色だ。
お母さんが買ってきた電動鉛筆削りだけが隅っこにピンク色で鎮座している。
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