第二章:七夕の二人――清海《きよみ》の視点

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 夫が休日はほぼずっと見ているパソコンを開いて覗くまで、私は「浮気」「不倫」といってもごく一般的な一対一の恋愛をイメージしていた。  会社の若い女の子とか仕事関係で知り合った女性とかいう繋がりの相手と付き合って、彼女と会えない土日も恋愛的なやり取りをしているような想像だ。 ――あいつとはそろそろ離婚の話をするよ。俺が一緒にいたいのは君なんだから。  顔の見えない女性と抱き合って語る彼の姿を想像すると、胸に突き刺さるような痛みを覚えた。  まだ結婚して二年なのに、自分がもうパートナーの中では鼻についた、他の女性と替えるべき存在にまで引き下げられたのだと考えるのはやりきれなかった。  とにかく、全ては彼の意中の女性が誰かを把握してからだ。  そんな思いであの薄べったいノートパソコンを開いたのだった。
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