第十二章:赤ちゃんの産める体――陽希十二歳の視点

1/7
前へ
/319ページ
次へ

第十二章:赤ちゃんの産める体――陽希十二歳の視点

 九月の半ば過ぎた習い事の教室は、どこか不安だ。  もちろん、新たに加わる顔ぶれもある。  だが、夏休み前は当たり前に目にしていた面影がぽつぽつ消えていて、それが単に夏休み明けの体調不良等による一時的な欠席なのか、本当に習い事自体を辞めてしまったのか、今一つ分からないからだ。  率直に言って、さほど親しい子でなくても「辞めた」と聞くともの寂しい感じを覚えるし、家も近所でなく学校も別な子だと「もう会うこともないのだろうか」と切なくなる。
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加