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九月も半ば過ぎると日暮れが早くなる。
まだ青々とした葉の繁る街路樹も、半袖で道行く人影も、街全体の眺めは夏休み中と大きく変わってはいないけれど、今まで明るかった時刻に夕陽が射し込むようになって秋に踏み込み始めたと知れる。
「うちのクラスでさ、中学受験する子が何人かいるよ」
本当はどうでもいい話題だが、とにかく先ほどの出来事を二人の間から追い払いたくて言葉を継ぐ。
「ミッション系受ける女の子が多いけど」
美生子は去年、国立大学の附属中学を受験したが、抽選で落ちて近くの公立に通っている。
「俺は頭悪いから最初からどこも受けないけど」
美生子が附属中に落ちて近くの公立に通うことになった時には正直、嬉しかった。
「来年からはまた同じ学校だよ」
笑顔で告げてから、海色のTシャツから抜き出た相手の頸から顔がまだ蒼白で円らな目を伏せているのに気まずくなる。
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